第2-3-4足趾(足の人差し指、中指、薬指)間に痛み、しびれが出現する疾患です。
生活様式の欧米化、モートン病という疾患の認知度が上がったことにより、日本でも増加傾向で、好発年齢は55歳頃、男女比は1:10と女性に多い疾患です。
症状は軽微から重度までありますが、消失・改善することもあり、歩けなくなるほどの症状ではないため、なかなか診断に至らずに放置されることもあります。
原因
足の指を支配する神経は、中足骨(足の中央にある5本の長い骨)の間を連結する靭帯のすぐ足底側を走行します。
荷重時に、この靭帯と地面との間で神経が圧迫されることで神経障害が起こります。
具体的には
- つま先立ち
- 中腰での作業
- ハイヒールの常用
など、足の指の付け根の関節(MP関節)に負担がかかる格好が長時間に及ぶと症状が起こりやすくなります。
マレット指などの変形がある場合にも同様な姿勢で生じやすくなります。
前足部・足底の腫瘤が原因になることもあります。(神経腫、ガングリオンなど)
神経圧迫部の近位には仮性神経腫と呼ばれる有痛性の神経腫が形成されます。
主な症状
個人差はありますが、第2-3-4足趾間(足の人差し指、中指、薬指)の痛み、しびれなどの神経症状が出現します。
部位は第3-4足趾(中指から薬指)間で66%、第2-3足趾(人差し指から中指)間で32%、第4-5足趾(薬指から小指)間で2%と報告されています。
痛みについて
痛みは時に激痛(灼熱痛)のこともあり、下腿(ふくらはぎ)にまで痛みが及ぶこともあります。
初期症状は足の指の違和感、感覚異常から始まり、使用中の靴、運動の種類・量によって症状が出たり出なかったりします。
症状に波はありますが歩けないほどの症状ではなく、放置されることが多いです。
悪化すると突然激痛が出たりするようになります。
神経腫ができた場合、自然になくなることはありませんが、症状は改善したり消失したりすることもあります。
診断
足の指の間の障害神経領域に感覚異常があり、中足骨頭間の足底に腫瘤(神経腫)と同部のチネルサイン(神経障害部を叩くとその支配領域に疼痛が放散する)があれば診断できます。
確定診断にはレントゲン、筋電図、MRI、超音波検査などを必要に応じて行います。
- レントゲン
異常がないことも多いですが、他疾患との鑑別に利用します。 - MRI、エコー
神経の腫れ(仮性神経腫)をチェックします。ガングリオンなどが見つかることもあります。
セルフチェック
- 足の指のしびれ、知覚異常があるかをチェック
- 足の指を背屈(指を反る)、爪先立ちをすると痛みが増強するかをチェック
- 前足部を横から挟み込むように圧迫して痛みが出るかをチェック(Mulder test)
問題あれば整形外科医師に相談しましょう。
治療
保存的治療
①神経への圧迫を減らす工夫(局所の安静)
- ヒールが低く、爪先への負担が少ない靴、インソールが柔らかくクッション性のある靴など、自分の足に合った靴を使用するようにしましょう。
- 作業肢位の見直しをしてみましょう。中腰での作業、つま先立ちも控えると有効です。
②足底挿板、インソールなどを用いた装具による治療
③投薬、ブロック注射、運動療法(リハビリテーション)
保存的治療を数ヶ月行っても症状の緩和がみられない場合は外科的な治療も考慮します。
手術
頻度は少ないですが、神経剥離、神経腫摘出、靭帯切離などが行われます。
神経を取り除くと感覚はなくなり、違和感が出ることがあります。徐々に薄らぐようです。
最近では、動脈注射療法(カテーテル治療)という痛みを長引かせている微細な病的新生血管(もやもや血管)に直接アプローチする治療も注目されています。
予防
- ハイヒールはなるべくやめてヒールが低い靴を使用する
- 中腰、爪先立ちでの長時間の作業があれば控える
- ランニングで症状が気になる場合には、適切な靴を使用し、頑張りすぎない
- 扁平足、開張足がある場合はモートン病のリスクが高いため、上記に注意する
当院でできること
- 身体所見、レントゲン、エコー検査からの診断
- 投薬、注射、補装具を使用した保存的治療
- 専門スタッフによるリハビリテーション
- 手術術後の回復リハビリテーション
診断から治療、その後のリハビリまで患者さんの症状に合わせて対応しておりますので、ご相談下さい。
当院でできないこと
当院では、MRIでの精査、手術加療はできません。
必要であれば専門外来に紹介させていただきます。
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