中野区新中野の整形外科 リハビリテーション科 新中野整形・リハビリテーションクリニック 中野富士見町

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ドケルバン病(de Quervain病)

親指(母指)を広げると母指背側から手関節にかけて2本のシルエット(腱)が浮かび上がります。

1本は母指側(橈側)に向かい、1本は手関節の中央に向かって走行します。

橈側のシルエットは、長母指外転筋(母指外転作用)と短母指伸筋(第2関節(MP関節)の伸展作用)から構成され、それらを制動するためのトンネル(腱鞘)が手関節部背側に存在します。

ドケルバン病は、この腱鞘に生じた狭窄性腱鞘炎により腱の通過障害、手関節背側母指側での痛みなどの症状が起こっている病態です。

男女ともに起こり得ますが、特に周産期、更年期の女性に多い傾向があります。

原因

母指外転、母指MP関節伸展に作用する2つの筋腱(長母指外転筋、短母指伸筋)を制動しているトンネル(腱鞘)に炎症が起こり、腫れて肥厚することで腱の通り道が狭くなり通過障害、痛みが生じます。(狭窄性腱鞘炎)

過剰に母指、手関節を使用している人は注意

  • スポーツ、仕事で手を使用する人(ゴルフ、テニス、バスケ、料理人、美容師など)
  • スマホ操作を片手でやる人(スマホ腱鞘炎とも呼ばれます)
  • キーボード操作を長時間行う人
  • 楽器を長時間引く人(バイオリン、チェロ、ピアノなど)

母指の過剰使用から腱鞘に炎症が起こり、腱鞘の肥厚、内腔の狭窄をきたし、内部を滑走する腱の表面に損傷が起こったりすることで悪循環が生じている可能性もあります。

女性ホルモンとの関連:2つの発症ピーク

ばね指(指の腱鞘炎)と同様で、女性の周産期、更年期に発症しやすいことから女性ホルモンとの関連が指摘されています。

①妊娠・出産時期

抱っこ、授乳、沐浴などで赤ちゃんの頭を支える機会が多く、母指を広く開く動作を頻繁にすることで母指、手関節に負担がかかっています。

また、女性ホルモンの変動の影響が考えられます。

②更年期

お孫さんの抱っこ、家事による手の酷使で母指、手関節に負担がかかっています。

また、閉経の影響も考えられます。

女性ホルモンの変動

①②共に女性ホルモンの変動が起こることも影響しているようです。

  • プロゲステロン
    妊娠の維持に必要なホルモンです。増加すると腱鞘を収縮させるように働くことで腱鞘炎症状が出やすくなります。
  • エストロゲン
    女性らしい体つきを作るのに必要なホルモンです。筋腱や関節を柔軟に保つ作用があり、閉経などで減少すると腱鞘炎症状が出やすいです。

症状

ドケルバン病は、手関節背側母指側の腱鞘に生じた狭窄性腱鞘炎により腱の通過障害をきたし、母指を広げたり、動かしたりすると同部位に痛みが生じ、ひどくなると力が入りにくくなる病態です。

下記のような症状があらわれます。

  • タオルを絞る動作、物をつかむ動作で手関節の母指側に痛みが出る。
  • 何かを持った際に手関節橈側にピリッと痛みが出る。

診断

身体所見

手関節背側母指側に痛み、腫れ、圧迫による痛みを確認します。

疼痛誘発テスト

  • フィンケルスタインテスト変法
    親指を握り込んだ状態で手関節を小指側に曲げる(尺屈)と痛みが増強するかチェックします。
  • 岩原・野末のサイン
    手関節を直角に曲げて母指を外転、伸展したときに痛みが増強するかをチェックします。

エコー

腱鞘の炎症、肥厚をチェックします。

2つの腱を区画する隔壁構造がある場合には症状が再燃しやすい傾向があります。

セルフチェック

スポーツ、楽器の演奏、赤ちゃんの抱っこ、家事などをする際に手関節背側母指側に痛みが頻回に出るようであれば、整形外科医師に早めに相談してみましょう。

治療

保存的治療

  • 安静(外固定、母指外転保持装具)
  • 物理療法(消炎鎮痛処置、衝撃波)
  • リハビリテーション(可動域訓練、ストレッチ、動作指導など)
  • 投薬(消炎鎮痛薬、外用薬)
  • サプリメントの使用(エクオール、イソフラボンなど)
    エクオール、イソフラボンは女性ホルモン(エストロゲン)に似た作用を持ち、大豆に含まれ、植物性のエストロゲンとも呼ばれます。エストロゲンにはドケルバン病の発症を予防する作用があり、これらのサプリメントにも同様の効果が期待されています。
  • 注射(腱鞘内にステロイド使用)
    トリアムシノロン(ケナコルト)注射では、皮膚の白色変化、カサカサになる合併症が稀にあります。

外科的治療

保存的治療、症状は軽快することが多いですが、改善しない場合、再発を繰り返す場合には、手術(腱鞘切開術)が行われます。

最近では自費診療ですが、動注療法(運動器カテーテル治療)も注目されています。

予防

  • スポーツ、楽器演奏、家事、育児などで負担がかかる方は、ストレッチ、アイシングを行うことで常日頃からケアしましょう。
  • スマホ操作はなるべく片手でやらないようにしましょう。スマホリングの使用も考慮すると良いです。
  • 家事での負担をできるだけ減らしましょう。痛い動作を控えてください。

似たような症状を引き起こす疾患

似たような症状を引き起こす疾患に、腱交差症候群、インターセクションシンドロームがあります。

母指動作に関係する筋腱(短母指伸筋腱、長母指外転筋)の筋腹と手関節伸展動作に関係する筋腱(長・短橈側手根伸筋腱)の交差部(前腕遠位)に炎症が生じ、痛み、滑走障害が生じる病態です。

症状が起こる部位がドケルバン病よりも近位で、握雪感が出るのが特徴です。

腫れている部分を押すと雪を押したようなギュッとした感じになります。

治療は装具、外固定による安静、投薬、ステロイド注射など、ドケルバン病の治療と類似です。

当院でできること

  • 身体所見、レントゲン、エコー検査からの診断
  • 投薬、注射、補装具を使用した保存的治療
  • 専門スタッフによるリハビリテーション
  • 手術術後の回復リハビリテーション

診断から治療、その後のリハビリまで患者さんの症状に合わせて対応しておりますので、ご相談下さい。

当院でできないこと

当院では、MRIでの精査、手術加療はできません。

必要であれば専門外来に紹介させていただきます。


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ストレートネック(スマホ首)
頚椎捻挫(むち打ち損傷)、外傷性頚部症候群、寝違え
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肩腱板損傷・断裂
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(四十肩、五十肩)
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ギックリ腰(急性腰痛症)
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腰椎分離症・分離すべり症
ガングリオン
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ギオン管症候群(ギヨン管症候群、尺骨神経管症候群)
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