本来であれば、感染を契機に体内に侵入した病原菌などの外敵を自分の身体を守るために攻撃するはずの免疫系が暴走して、自分自身を攻撃(自己免疫)し、関節、筋肉、骨などに痛みや炎症をひき起こす疾患です。
症状
症状が起こる部位は主に関節です。
初発部位としては特に手足の関節が多く、症状が進行すると、関節の骨、軟骨が破壊され、変形が起こり、関節の可動域制限、日常生活に支障をきたすことがあります。
関節以外にも皮膚、眼、肺など全身の症状が出ることもあり、疲れやすい、脱力感、体重減少、食欲低下などもみられることがあります。
関節リウマチの初期症状
- 朝に手足の関節周囲がこわばる(朝のこわばり)
- あちこちの関節の痛み、腫脹
- 手足のしびれや痛み
初発症状は多彩で、風邪かな?と思うような微熱、倦怠感、関節痛や肩関節周囲炎と診断されているケースもあります。
関節リウマチは女性に多い
関節リウマチは、30~50歳代に発症する女性が多く、男性の3~4倍と報告されてきましたが、近年、高齢発症の患者さんも増加してきている印象です。
18歳未満で発症するものは若年性関節リウマチと呼ばれ、診断、治療方法が大きく異なります。
関節リウマチには遺伝的要素も関連する
関節リウマチを発症するそもそもの原因については、現状ではまだ明らかではありませんが、遺伝的要素も関与すると言われています。
ただし、ご家族に関節リウマチの患者さんがいたとしても必ず発症するというわけではありません。
不安があれば、関節リウマチの検査(血液検査)も考慮しましょう。
関節リウマチと似たような症状を起こす疾患(へバーデン結節、ブシャール結節など指の変形性関節症、痛風など)と区別するためにも血液検査は有用です。
関節リウマチの診断
- 臨床症状(関節の腫脹、疼痛関節の数、部位)
- 血液検査(CRP、血沈、MMP-3、抗CCP抗体、免疫グロブリン、その他)
炎症所見(CRP、血沈)、抗体検査(抗CCP抗体、リウマトイド因子(RF))をチェックします。
CRP、血沈、MMP-3は関節リウマチの活動性評価に有用です。
抗CCP抗体やRFが陽性であっても関節リウマチを発症しているとは限りませんが、予後不良となる可能性は高いと言えます。 - 画像検査(関節のレントゲン、MRIなど)
○ レントゲン:
骨びらん、関節の狭小化があれば診断しやすくなりますが、発症早期では変化が見られません。(両手、頚椎、腫脹、疼痛のある関節でチェック)
○ MRI・関節エコー検査:
関節滑膜の変化(軟部組織の腫脹、血流状態)を検知できることがあり、早期の診断に有用です。
診察・検査結果を2010年ACR/EULAR分類基準に参照し、その他の疾患を鑑別した上で関節リウマチを診断します。
治療
関節リウマチというと、手足の高度な変形、不治の病のような印象が以前はありましたが、最近では発症早期に的確に診断し、治療介入することで症状を抑え込み、関節の破壊、変形、ひいては日常生活動作の維持が可能になってきています。
また、リハビリテーション介入することで、疼痛緩和、筋力・関節機能の維持に期待がもたれています。
治療効果不十分、治療介入の遅れなどから関節破壊、変形をきたし、保存的治療では対処できない場合、外科治療も考慮されます。
薬物療法(抗リウマチ薬、TNF阻害薬、IL-6阻害薬、T細胞阻害薬、JAK阻害薬など)
薬の開発の進歩(MTX、生物学的製剤)は近年めざましく、関節リウマチ症状を抑え込むことがだいぶできるようになっているようです。
関節破壊が起こってしまうと元通りにはできないため、関節の破壊が起こる前に治療介入することが大切です。
リハビリテーション
リハビリには主に物理療法や運動療法があります。
物理療法では温熱、電気、超音波治療器などを使用し、痛みを緩和したり、関節の動きを良くするものです。
また、関節機能、筋力の維持を目的とした運動療法には、筋力強化トレーニング、起立・歩行訓練、作業療法、リウマチ体操などがあります。
外科治療(人工関節置換術、関節固定術、脊椎固定術など)
検査と診断、リハビリテーションが可能です
これらのうち、当院で対応できるのは早期診断目的での検査、診断、リハビリテーションとなります。
薬物療法は高度の専門知識、合併症として間質性肺炎などの問題もあり、内科的な診察が必要となり、当院では行っておりません。
外科治療と合わせて、専門外来、専門施設に紹介させていただきます。
もちろん、外科治療後のリハビリテーションなども当院で行うことが可能です。
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